節分とひとくくりに言っても、全国には変わった節分のならわしがたくさんあります。その中から、特色ある節分のならわしをいくつかご紹介します。
鬼は内?全国の口上いろいろ
「鬼は外、福は内」と言いながら豆をまくのが一般的ですが、「鬼は内」と声かけすることもあるってご存知でしたか?悪者にされがちな鬼ですが、悪い鬼ばかりではないのですね。
群馬県藤岡市 鬼石地区
“鬼が投げた石でできた町”という伝説があるこの町では、「福は内、鬼は内」と唱えます。他の地方で追い出された良い鬼を呼び込む、その名も「鬼恋節分祭」が開催されます。
奈良県吉野郡 金峯山寺蔵王堂
こちらは、「福は内、鬼も内」と唱えます。全国から追い払われた鬼を迎い入れて、仏門に帰依させて改心させるのだとか。鬼も改心するんですね。
埼玉県比企郡 鬼鎮神社
鎌倉時代の勇将・畠山重忠の館の鬼門除けとして建立したので“悪魔外”、金棒を持った鬼が祀られているので“鬼は内”と唱えます。その他にも、鬼が守り神として祀られている神社では“鬼は外”はタブーに。
鬼頭さんや九鬼さん
「鬼塚さん」など名前に“鬼”がつく家は、鬼を追い出してしまったら縁起が悪いので「鬼は内」と唱えることが多いのだとか。
地方別、食べ物
恵方巻き 太巻きを無言で丸かじり
無言なのは、しゃべりながらでは歳得神に失礼だから…という説が多いよう
今では全国区ですが、もともとは関西に伝わる風習。恵方巻きとは、節分に 「恵方を向いて太巻きを食べる」もので、無言で丸ごと食べると1年間良いこと があるそう。
そのいわれ、実は大阪の海苔屋さんが道頓堀で行った海苔の宣伝が始まり。 巻き寿司なのは「福を巻き込む」からで、丸ごと食べるのは「縁を切らない」ように包丁を入れないため。太巻きのキュウリを青鬼、ニンジンや生姜を赤鬼に
見立て、“節分に鬼をやっつけよう”という意味も。また、ことわざの「鬼に金棒」 に見立て、豆まきで逃げた鬼が落としていった金棒を食べることで、無病息災、 商売繁盛、自分を取り巻く悪い事から逃れる、窮地打破などの意味もあるのだとか。
※ちなみに今年の恵方は?
恵方とはその年の歳徳神(吉神)が鎮座する方向で2009年の恵方は東北東やや右。今年は、コンビニでもトルティーヤやロールケーキ風のものなど、いろんな恵方巻きが売られるようです。いつものに飽きちゃった…という方はこんな変わり恵方巻きを試してみては?
節分そば
立春前日にあたる節分を年越しと考えていたので、前の年の邪気を払う「節分そば」は、今で言う「年越しそば」のようなもの。もともと江戸時代の後期には、大晦日ではなく節分に食べるそばを“年越しそば”と呼んでいました。出雲地方でも、古くから立春を新年ととらえ、その前日の節分に年越しそばを食べる習慣があり、今でもその風習が残っている地域があるそうです。
けんちん汁
建長寺の修行僧が作っていた料理という説や、江戸時代に伝わった中華料理の巻繊(ケンチェン)がなまって伝わったという説もある「けんちん汁」。大根やニンジン、ゴボウなどを胡麻油で炒めてしょうゆや味噌で整えた、野菜たっぷりのけんちん汁を、関東地方では節分に食べる例があるそう。中には、節分の大豆をけんちん汁に入れることも。
こんにゃく
節分にこんにゃくを食べる風習は、四国が始まり。昔の人はこんにゃくを“腸の砂おろし”と呼び、大晦日や節分、大掃除の後に、“体内にたまった砂を出す”として食べていました。
ちょっとかわった節分のお祭り
全国には、「何それ!?」と思わず笑ってしまうような、おもしろい節分祭があるようです。伝統的な節分祭もいいけれど、たまにはこんな、ちょっと変わったお祭りもいかがでしょう?
芦ノ湖 水上スキーで鬼退治(神奈川県足柄下郡箱根町)
水上スキーで逃げ回る鬼を厚化粧の巫女さんと年男達が豆をまく…というなんとも不思議な芦ノ湖の節分祭。最後に水上スキーで神主が湖上を清めて式を終えます。
日本一のほら吹き大会? 吉備津神社(岡山市)
国指定重要文化財の本殿で、年男・年女による豆まきが行われた後に、大きな焚き火を囲みながらのほら話を競う、その名も「ほら吹き神事」が開催されます。
タンキリ飴&白い粉をふりまく鬼祭り(愛知県豊橋市)
安久美神戸神明社で行われる天下の奇祭「豊橋鬼祭り」。赤鬼が天狗に挑む「赤鬼と天狗のからかい」が見もの。赤鬼は境内を出て町内をかけまわり、タンキリ飴をと白い粉をまき散らすので見物人は真っ白に!でも、この粉をかぶると夏病みしないとか。
八坂神社(京都市東山区、舞妓の豆撒き)
京都といえば舞妓さん。京都の八坂神社の節分祭では、あでやかな着物姿の舞妓さんが舞踏を奉納した後、境内の舞殿で豆まきを行います。