年末年始の変わった風習&伝統料理

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第1章 地元ならでは!あんな風習こんな風習
皆さんは、年末年始には何をされていますか?
「毎日忙しく働いているから、一年の終わりと初めくらいはのんびり過ごしたい …」
そんな思いとは裏腹に、なにかと忙しいのが年末年始ではないでしょうか。
今回は、そんな年末年始の全国の風習について調べてみました。
神様をお迎えする準備 しめ縄・門松

しめ縄とは、稲のわらで編んだ縄に御幣・四手といわれる紙製の幣束をつけたもので、 災いから隔離する境界線としての役割を果たします。 門松同様、お正月に神様をお迎えするために家庭の玄関に飾られます。

そんなお正月飾りにはいろいろな縁起物が飾られますが、それぞれに意味があります。
例えば「だいだい」は家系が代々繁栄しますように、「南天」には難を転じるという意味合いが。 どちらも言葉の音に意味をかけてある所がおもしろいですね。

 

最近は、マンション暮らしなどでしめ縄や門松を飾らない家庭も多いですが、昔ながらの大きくて立派な飾り物でなくても、小さめのものも売っていますし、ちょっと手を加えれば“リース風しめ飾り”なんてものも作れるので、難しく考えず楽しくお正月を盛り上げていくのも手ですね。
また、門松は12月26・27・28・30日に立て(29日は“二重苦”31日は”一夜飾り”といって避ける)、1月6日の夕方に片付けるというのが一般的ですが、20日頃から飾りだすところもあれば、旧正月(15日)まで飾るところもあるなど、やはり地域によって様々のようです。
静 岡 興津の長〜く連なったしめ縄
しめ縄というと、玄関などに飾るのが一般的ですが、静岡県の興津では、地域の家と家の周りをずーっとつなぐようにしめ縄を張ります。しめ縄によって、四方をぐるーっと神聖な場所として囲っているんですね。
京 都 根引きの松
京都のちょっと変わった門松「根引きの松」。 根ごと引き抜いた細い松の木を白い半紙で巻いて紅白の水引を結っただけの、 華美を好まない京都らしい質素なもので、「根がつきますように」との願いが込められています。
 人の煩悩は108つ…除夜の
人間の煩悩の数を表す、108回撞かれる除夜の鐘。
この時期になる度、「人ってたくさん煩悩のある生き物なんだな〜」と、除夜の鐘を聞くたびに 身につまされる思いがするのは私だけでしょうか。

除夜の鐘が108つの意味には、煩悩の数以外にも諸説あるようで、12ヶ月+24節気(立春など季節の区分)+72(古代中国の季節区分)=1年間 を表すとか、 四苦八苦を取っ払うという意味合いから4×9+8×9=108とも。
 

また、108回衝かれる鐘ですが、「108回のうち107回は旧年(12月31日)までに、残り1回を新年に撞く」のが一般的。中には新年になってから1発目が撞かれるお寺(大石寺など)もあるようですが。
今年も、煩悩の数を数えては慎ましやかに新年を迎えたいと思います。
お正月のお祭、お祝い事
お正月の行事といえば、地域ごとに伝統的な行事が伝承されていると思います。
そんな数多いお正月行事の中から、いくつかご紹介したいと思います。
東北地方
 - 秋田県 -
火振りかまくら
毎年2月14日に行われる、秋田の小正月行事「火振りかまくら」。炭俵や米俵になわをつけて火をつけ振り回すと、大きな火の輪が冬の夜に輝く、幻想的なお祭。
東海地方
 - 静岡県 -
法多山の「田遊び祭」
室町時代から伝わる、五穀豊穣を祈願するお祭で、時代装束に身を包んだ村方衆が参道を練り歩きます。本堂前では米作りの過程を舞楽で表現する「七段の舞」が。最後の放ち矢の神事の後、福餅投げが行われます。
関西地方
 - 京都府 -
京都の「にらみ鯛」
京都には、お正月の三が日に毎回登場する鯛を、にらむだけで箸をつけない「にらみ鯛」という変わった風習があります。今では一日だけ、という場合も多いようですが、少しおいた鯛は身がしまって美味だとか。
九州地方
  - 福岡県 -
福岡の「三泊まりを避ける」風習
福岡県春日市・筑紫野市の一部地域では「年末年始三泊実家に居てはならない」という変わった風習があるそうです。二泊、四泊はOKで、三泊しかできない場合はホテルや近所の家などに移動。どうしても泊まる場所もなく、泊数の延長もできない時は身につけてきたものを一つ実家に置いていかなければならないとか。
お正月ひとくちメモ 消えていく風習と受け継がれる風習
お寺などで正月飾りを焼き、その火を囲んでお餅や書初めを焼いて無病息災を祈ったり字の上達を願ったりする正月の風物詩「どんど焼き」。 仙台などが有名なこの風物詩ですが、少子化や環境問題からの規制で、姿を消しつつあるといいます。 昔ながらに続ける地域もありますが、かつてのように一般的に家庭の庭で焼かれることは少なくなっているのも事実。 時代の流れとともに風習は変わっていくものですが、ちょっともの寂しい気もします。
一方で、少しずつ変化していく風習もあるわけですし、伝統を大切にしつつ“新たに作られていく風習”も大切にしていきたいですね。
 
餅つき
最近は各家庭で行うことも少なくなりましたが、子どもの頃町内会などで餅つきをしたという方もいるのではないでしょうか?
読者の皆さまの中には、「30日に夫の実家で餅つきをして、その後は夫婦で静かにすごします(福岡市40代女性)」など、 今でも自宅で餅つき派、という方もいらっしゃいました。
準備や片付けなど手間もかかりますが、手づくりならではのおいしさは既製品では味わえません。 簡単で便利な世の中になってきますが、一時こんな昔ながらの風物詩を楽しんでみるのも贅沢なことですね。
 
お正月ひとくちメモ 餅なし正月 “もちつかぬ里”ってご存知ですか??
“お正月の食べ物=お餅”といっていいほど、お正月の食べ物としてお餅はポピュラーですが、「餅なし正月」なんてものがあると聞いて調べてみました。
餅なし正月というのは、その名の通り正月とその数日間に餅を食べたりついたりしない正月のこと。 これは、祖先が落武者で正月に餅をつけなかったのを偲んでのこととか。 お餅を食べない代わりに芋類を食べるそうで、和歌山県田辺市の鮎川小川地区には「もちつかぬ里」という場所も。
このほかにも、全国には「その地域だけ」という伝承がいくつも残っているようです。
 
鏡餅と鏡開き
昔の銅鏡の形に似ていて望月(満月)を表す、お正月に欠かせない「鏡餅」。 白くて丸い大小のお餅を重ねたものが一般的で、ゆずり葉やだいだいなどのおめでたい飾りをつけることも。
また、地域によっては3段だったり、砂糖で作られていたり、白蛇をかたどったものもあったりと全国にいろんなタイプの鏡餅があります。(白蛇が神の使いとして信仰されることもありますが、確かにとぐろをぐるぐるっと巻いた姿は鏡餅そっくり。)

年神様にお供えした鏡餅は、鏡開きをし(11日にやる所が多い)、雑煮や汁粉にして食べて一家の円満を願います。
 
鏡開きは武家社会の風習が一般化したものとされているので、切腹を連想させる刃物は使わず手で割って砕き、「切る」ではなく「開く」という言葉を使います。この鏡餅を開く頃には新年のお休みボケもすっかりなくなって、気持ちよくスタートダッシュを切る、そんな時期ですね。
金 沢 紅白鏡餅
石川県の金沢では、白いお餅ではなく、紅白のお餅を重ねる風習があります。紅白の鏡餅は北陸だけにみられる風習のようです。紅白とはなんともおめでたいですね。
正しい参拝のお作法をおさらいしよう!
2007年は「スピリチュアル」がはやりましたね。神社への正しい参拝方法をご存知ですか?知っている方もそうでない方も、神様にちゃんとお願いことを聞いてもらうためにも、お参りに行く前にもう一度おさらいしてみましょう。
[1]まずは一礼
鳥居をくぐる前にしっかり礼。神様にも礼儀が必要なんですね。
[2]参堂の端を歩く
参道の真ん中は神様が通るところなので端を歩きましょう。
[3]手と口を清める
柄杓を使って左手→右手の順に洗う。
もう一度左手に水をため、口をすすぐ。
[4]神殿前で
お金は投げず、そっと賽銭箱へ。鐘をならしたらまずは2礼2拍手。
手を合わせてお祈りをし、お願いの後に名前と住所と年齢を伝えます。最後に1礼をしましょう。
※出雲大社は2礼4拍手1礼です。
 
俗物的なお願いをいくつもしても神様は聞いてくれなそうですね。作法を守って神様に挨拶をし、日ごろの感謝を伝えてからお祈りをするようにしたいものですね。
お正月ひとくちメモ おみくじ 神様から届けられるメッセージ
吉凶の結果に一喜一憂しがちなおみくじ。 でも、そこに書かれているのは神様からのメッセージなので、結果にとらわれず耳を傾けましょう。
おみくじは、ぱっと引くのではく、自分の知りたいと思う事柄を神様にお知らせして「おみくじを引きますので、お言葉をください。」とお願いします。 おみくじを縛っていく人も多いですが、できれば結果は持ち帰り、手帳やお財布にはさんでおくと、いつも神様からいただいたメッセージを見ることができます。
凶がでたからといって何度も引きなおしたりせず、神様からのアドバイスを信じて実践しましょう。
 
今回お寄せいただいたご意見には、やっぱり「お雑煮を食べながら家族でのんびり(蒲郡市50代女性)」「ひたすら寝る(津市20代男性)」といった、のんびり寝正月派が大多数。 そのほか「一年に一度、主人の大好きな蟹をこれでもかというほど買い込み、ず〜っと食べます(上草柳40代女性)」「ちょっと贅沢な買出し(横浜市60代女性)」といった、思い思いの楽しみ方も。
正月くらいはせかせかせずにゆっくり過ごしたいものですし、特になにもせずゆ〜ったり過ごすという方も多いですが、全国には今回ご紹介できなかった数多くの風習がありますし、皆さまの地元にもそんな風習が隠れているのではないかと思います。
時代の流れで少しずつ消えていってしまうものもありますが、この機会に地域に残る伝統を調べてみたりするのもおもしろいかもしれませんね。
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