特集
2019.03.20 菅原岬

地元の食の実験室「浜松ふうどラボ」とは?

地元の食の実験室「浜松ふうどラボ」とは?
「まさか浜松で、こんなに食の豊かさを感じられるとは思いませんでした」と語るのは、NPO法人はままつらぼ代表の干場弓子さん。2019年2月、食の豊かさを楽しむフードスペース「浜松ふうどラボ」をスタートしました。

ここは、浜松の恵みを通じて人がつながり、食に関するさまざまな化学反応が起こる実験室。いったい、どのような活用ができるのでしょうか?干場さんにお話を伺いました。

浜松が教えてくれた食の豊かさをたくさんの人に



大学卒業後から、建築家としてオフィスや店舗のデザインを手掛けてきた干場さん。なぜ、浜松ふうどラボを立ち上げることになったのでしょうか?

「NPO法人のはままつらぼという組織がきっかけです。はままつらぼは、クリエイティブな人がつながることで、遊休地を活かすアイデアが生まれる実験室のような場。浜松にあったらいいなという暮らしの試みができないかと立ち上げました」

▲同席いただいた、はままつらぼ運営メンバーの佐々木豊さん(左)と宮崎洋子さん(右)
▲同席いただいた、はままつらぼ運営メンバーの佐々木豊さん(左)と宮崎洋子さん(右)

はままつらぼでさまざまなプロジェクトを検討する中、浮かび上がったのは「食」というテーマだったそうです。

「夫の転職で引っ越すことになった浜松は、意外と農業が盛んな街でした。地域ごとに名産品があることも驚きで。三ケ日のミカンや篠原の新タマネギ、森町のトウモロコシなど」

浜松の食の豊かさに気付いたのは、地元の人との交流の影響も大きかったと言います。

「とれたてのタケノコを分けてくれたり、旬の食材を教えてくれたりするご近所さんが多くって。関東に住んでいたころは、そのとき必要な食材を大型スーパーで買う感覚でした。浜松に来てからは、食を通じて季節を感じるようになりましたし、そのことを豊かだと思えるようになったんです」

だんだんと干場さんは、浜松の食を通じて感じられる季節や土地の豊かさを伝えられる場所ができたらと思うようになります。

「そんな中、日本茶を通じて日本の文化を伝えていきたいという宮崎さんの想いと、はままつらぼの理念が共鳴したんです。宮崎さんが運営する日本茶カフェ『お茶の間 のおと』の空き時間を借りて、浜松ふうどラボをスタートすることになりました」

▲全国27か所から取り寄せた日本茶が揃うお茶の間のおとでは、宮崎さんイチオシのお茶やスイーツを愉しむことができる。写真は、花粉症に効果があるとされる「べにふうき」に、浜名湖ミカンを配合したフレーバーティー。浅蒸しで苦みがすくない緑茶の中に、柑橘のさわやかな香りが広がる。▲全国27か所から取り寄せた日本茶が揃うお茶の間のおとでは、宮崎さんイチオシのお茶やスイーツを愉しむことができる。写真は、花粉症に効果があるとされる「べにふうき」に、浜名湖ミカンを配合したフレーバーティー。浅蒸しで苦みがすくない緑茶の中に、柑橘のさわやかな香りが広がる。

カフェの空き時間を有効活用、使ってよし食べてよしの「浜松ふうどラボ」



地域の暮らしの実験室「はままつらぼ」から生まれた、「浜松ふうどラボ」。具体的には、どのような場所なのでしょうか?

「地元の農家さんをはじめとする『収穫する人』と、それを『料理する人』『食べる人』をつなげる仕組みです。お茶の間のおとを起点としてみなさんがつながることで、クリエイティブな活動が生まれる場にしていきたいと考えています」

利用方法や活用シーンについても教えていただきました。

「3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のタームを選んで会員登録をしていただきます。お茶の間のおとを使える時間帯がコマ数になっていて、空いているコマを予約して使います。会員は、1ヶ月に5コマまでご利用できますし、1コマから利用できるビジタープランも用意しています

併設されているキッチンを使って『料理する人』がつくった料理で『味わう人』をもてなすという使い方が基本になると思います。例えば、トライアルでカフェや料理教室を開きたい人に使ってもらうイメージです。すでに飲食店を運営している人が、創作的に料理を出してみたいときにも便利だと思います。新しいお客さんと出会うチャンスになるのではないでしょうか」

▲お茶の間のおとで人気の「お濃茶のけーき」。食の実験から、こうしたユニークな料理が生まれるかもしれない。
▲お茶の間のおとで人気の「お濃茶のけーき」。食の実験から、こうしたユニークな料理が生まれるかもしれない。

つながる人によって使い方にも化学反応が生まれてきそうですね。実際に利用してもらいたいのは、どんな方でしょうか?

「なんといっても食べることに興味がある人、ですね(笑)。それから、浜松の食の恵みに関心のあるお母さんなど。私も子を持つ母ですし、浜松に来て知ることができた食の豊かさを、たくさんの人に知ってもらえたら嬉しいです。『浜松では今はこの食材が旬なんだよ、こう料理して食べるとおいしいよ』なんて、教えてくれる人もいてくれたら素敵ですね」

浜松ふうどラボでは春に向けて、庭のスペースを使った農家さんの直売イベントなども企画しているそうです。料理でもてなしたい人から味わいたい人まで、情報をチェックして出かけてみてはいかがでしょうか?



●店舗情報●
浜松ふうどラボ(お茶の間のおと)
所在地:静岡県浜松市東区半田山5-25-1
問い合わせ:info@hamamatsulabo.sakura.ne.jp
URL:http://hamamatsulabo.sakura.ne.jp/wp1/(はままつらぼホームページ)

●プロフィール●
干場 弓子 さん|
NPO法人はままつらぼ理事長。台北市出身。千葉大学工学部建築学科を卒業後、同大学大学院にて修士課程を修了。デザイナーズマンションやオフィスを中心に建築設計を手掛ける。東京理科大学での非常勤講師を経て、2014年より明治大学の非常勤講師へ。studio BO5一級建築士事務所 共同主宰。
宮崎 洋子 さん|
浜松市出身。2008年に茶業で独立、国内の美味しい日本茶の発掘と卸売業に従事する。2013年末、浜松市天竜区の古民家に日本茶とお菓子を愉しむスペース『お茶の間 のおと』をオープン。2015年秋に浜松市東区の現店舗へ移転。より進化した日本茶の飲み方を提案すべく、各種イベントやコラボレーション企画も展開している。
佐々木 豊 さん|
栃木県出身。1993年に地域振興整備公団(現:UR都市再生機構)に入団し、東京、沖縄や浜松などでニュータウン開発に携わる。2012年に浜松市役所に転職し、市街地整備課都市再生グループ長とてして浜松市都市再生促進条例の策定を担当。まちなかにある遊休不動産の利活用を促進する「リノベーションまちづくり」事業に携わる。

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