特集
2019.11.20 菅原岬

フェアトレードタウン浜松、暮らしの中にある豊かな消費

フェアトレードタウン浜松、暮らしの中にある豊かな消費
中学・高校の教科書に掲載されて以来、10代の約9割が知っていると答える(※)「フェアトレード」。ただし、フェアトレードの実態をよく知り、生活の中で実践している人の数はまだ多くありません。
 
そんな中、まちぐるみでフェアトレードの活動を支援する「フェアトレードタウン」が日本に増えています。静岡県浜松市も日本で4番目に「フェアトレードタウン」の認定を受けた都市です。
 
その認定の立役者となった1人が、はままつフェアトレードタウン・ネットワークのコアメンバーであり静岡文化芸術大学の下澤嶽教授。フェアトレードの推進活動を行う学生団体「りとるあーす」の皆さんを交え、「フェアトレードタウン」についてお話を聞きました。
 
(※)2019年度フェアトレード認知度調査より
 

暮らしの中でフェアトレードに触れられるまち、浜松市

ーーフェアトレードという言葉はよく耳にしますが、具体的にどのような運動でしょうか?
 

下澤さん:フェアトレードとは、日本語で「公正な貿易」のこと途上国でつくられた作物や製品を「適切な価格」で「継続的に取引」することによって、生産者や労働者の生活改善と自立を支える仕組みです。
 
私たちの生活を支える食料品や布、食器などが、貧しい環境に暮らす人々の犠牲の上につくられていることは多々あります。そうした産品を適正な価格で買うことによって、生産者の生活を改善したり自立を支援したりできる。そうした運動が「フェアトレード」です。
 
ーー途上国でつくられる産品を適正な価格で買うことが、現地生産者の生活向上につながるのですね。2017年11月に浜松市が認定を受けた「フェアトレードタウン」についても教えてください。
 
下澤さん:「フェアトレードタウン」とは、都市全体でフェアトレードを応援している自治体のことです。市民や行政、企業、小売店、学校など、まちぐるみでフェアトレード産品の購入・販売や啓発イベントを開催しています。

つまり、浜松市は、フェアトレードに触れたり実施したりできる機会が、市民の暮らしの中にある都市なんです。
 

出展:はままつフェアトレードマップ

ーー浜松市が「フェアトレードタウン」の認定を目指したきっかけは、何だったのでしょうか?
 
下澤さん:2016年にフェアトレードDAYというイベントが開催されたことで、フェアトレード産品を取り扱う事業者たちの意識が高まったことでした。フェアトレードの推進をしていく流れができ、フェアトレードタウンの認定を目指すべく有志のメンバーで組織をつくったんです。
 
実際に調べていくと、114ものフェアトレード産品の取扱店が市内にありました。そうした“フェアトレードの種”とも言えるものが、浜松にはすでにあったということです。
 
ーーキャンペーンとして進められた活動ではなく、事業者のフェアトレードを推進したいという気持ちが形になっていったのですね。
 
下澤さん:そうですね。また、学生の活動もフェアトレードタウンの認定を進める大きな力となりました。例えば「りとるあーす」は、学内外で数々のフェアトレード普及キャンペーンを実施しています。学生が地元のフェアトレード取扱店を訪問して、商品のPRを手伝う姿勢を見せることで、事業者とのつながりを強めてきたんです。
 
(※)静岡文化芸術大学は2018年2月に、日本で初となる「フェアトレード大学」に認定されました。
 
ーー浜松はフェアトレードタウンの3年目に入り、学生の取り組みも進化していると聞きました。
 
下澤さん:はい、いよいよ生産地と消費地を結ぶ「はまチョコプロジェクト(Twitter:@suaccacao)」が始まりました。は、2020年12月にフェアトレードチョコレートの販売開始を目指して活動しています。静岡文化芸術大学の学生が主体となって運営し、フィリピンのカカオの仕入れからチョコレートの制作、販売までを手がけるチームです。
 

▲はままつチョコプロジェクトクラウドファンディングページより。チョコレートの試作や広報、デザイン費用を募ったクラウドファンディングプロジェクトは目標対比104%で着地しました。

生産者の名前を言える、生産地の村のことを分かる、製品を苦労してつくっていることを知っている。そうしたことがフェアトレードのエッセンスであり、商品の価値となります。参加学生は、フェアトレードを実現する難しさと楽しさの両方を味わいながら、日々成長しています。
 
フェアトレードタウンは3年ごとの更新です。浜松も来年に無事更新をして、フェアトレードの活動がさらに広がる都市になってくれると嬉しいです。
 

学生団体「りとるあーす」が考えるフェアトレードの実際

▲写真左より加藤麻友さん(会計)、宮本ほのかさん(副代表)、望月菜央さん(代表)
 
静岡文化芸術大学2年生で「りとるあーす」のみなさんに団体に入ったきかっけや今の気持ちなどを聞きました。

ーーみなさんは、フェアトレードについて「りとるあーす」に参加する前から知っていたんですか?
 
望月さん:いえ。フェアトレードという言葉は知っていましたが、実際のことは「りとるあーす」に入ってから学んでいきました。
 
加藤さん:静岡文化芸術大学がフェアトレード大学に認定されていることだけは知っていて。せっかくこの大学に入ったから、ここでしかできない活動をしたいなと思いました。
 
宮本さん:フェアトレードについての知識や具体的なイメージは、ほとんどもっていませんでした。中学・高校の授業の中で何となく出てきたな、くらいのイメージです。
 
ーー「りとるあーす」では、地元の専門店からフェアトレード産品を購入して、学内などで販売していますね。実際の活動はいかがですか?
 
宮本さん:実際には、お客さんが全員フェアトレードの現状を知りたいと思っている訳ではないことに気付きました。商品が良いから買ってくれるのであって。
 
望月さん:店頭でフェアトレードについて話せるお客さんは少ないですね。フェアトレードを「知ってもらいたい」「広めなくちゃ」という気持ちで活動してきたのですが.....
 
宮本さん:好きな商品がたまたまフェアトレードだったということが、フェアトレードのベストな広め方なのかもしれないよね。
 
加藤さん:それでも、知らなかったフェアトレードのことを知っていくのは楽しいです。先日、私が住んでいる静岡市にもフェアトレードの専門店があることを知りました。そうしたことには、「りとるあーす」に入っていなければ気付かなかったと思います。
 
ーーこれからは、どのように活動していきたいですか?
 
宮本さん:これまで培ってきた知識や活動を、メンバーのみんなともっと共有していきたいです。メンバーのモチベーションはそれぞれなので、みんなが団体の活動に加われるような形にしていけたら嬉しいなって。
 
望月さん:活動の芯となる「りとるあーす」の軸を定められたら嬉しいです。商品を販売するだけではなく、先輩たちの想いや専門店の人と関わってきた歴史とか。そうしたものを残していけたらと思っています。
 

フェアトレード全国フォーラム2019が浜松で開催!

 
出展:はままつフェアトレードタウン・ネットワークHPより

2019年11月30日(土)、静岡文化芸術大学(浜松市中区)にて、フェアトレード全国フォーラム2019が開催されます!フェアトレードに関する海外事例報告とパネルディスカッションのほか、ファッションショーが展開。服や小物のデザインを静岡文化芸術大学の学生が担当し、モデルには市内の高校生大学生が登場するとのこと。鈴木康友市長もランウェイを歩くそうですよ。フェアトレードで実現する豊かな暮らしに興味のある方は、参加してみてはいかがでしょうか?
 

豆乃木さんのコーヒーを10名様にプレゼントします!!

今回は、浜松市にある豆乃木さんのマヤビニックコーヒーのドリップパック(10g×8パック)を10名様にプレゼントします。フェアトレードによるパートナーシップによってつくられた無農薬・無化学肥料のメキシコ産マヤビニックコーヒー。
生産者から届いたコーヒーの物語を、国境を忘れて味わっていただけたらと思います。


▲フェアトレード&産直マーケット オンラインショップTetoTe(てとて)サイトページより

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●プロフィール●
下澤嶽さん|愛知県豊橋市出身。静岡文化芸術大学 文化政策研究科長 教授。一橋大学大学院社会学部地球社会専攻博士課程。シャプラニール(市民による海外協力の会)事務局長、国際協力NGOセンター事務局長を経て現職。著書に『フェアトレードタウン 誰も置き去りにしない公正と共生のまちづくり』(共著、新評論、2018年)など。

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