年末年始の変わった風習&伝統料理

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第2章 お国自慢のお正月料理大特集
去り行く1年を振り返り、来たる新年を祝う年末年始にはやっぱり、伝統のお料理も欠かせません。
こたつにみかんで紅白を見ながら食べる年越しそばや、お酌を交わしながら食べるおせちなど、お正月料理にスポットをあててみたいと思います。
年越しそば
ご存知、年越しそばとは「長〜く幸せに暮らせるように」「(切れやすい蕎麦で)一年間の苦労を切りすてるように」と縁起をかついで食べられる蕎麦。 年を越す前に食べきらなければならなくて、残すと翌年金運に恵まれないといういわれもあるんだとか。
元々、江戸中期には月末に蕎麦を食べる習慣があって、それが大晦日のみに残ったものとも考えられています。 それにしてもやっぱり、家族の幸せを祈って皆で食べる年越し蕎麦は和のココロが溢れていて素敵な風習ですね。
余談ですが、沖縄にはもともと年越しそばの習慣がなかったけれど、最近は“沖縄そば”で年越しする家庭も多いとか…。
お雑煮
お正月に欠かせないものといえばやっぱりお雑煮。
よく、おもちは「焼く派 or 煮る派」「丸餅派 or 角餅派」といったようにお雑煮談義に花が咲くように、このお雑煮こそ津々浦々さまざまな種類があります。
どんな種類があるかというと、一般的に「東日本は焼いた角餅(切り餅)ですまし仕立て、西日本は丸餅で味噌仕立て」が多いといわれています。 そんなお雑煮について、読者の皆さまから届いたいろんな情報を交えながら、各地の特徴的なお雑煮を紹介していきます。
イメージで各地のお雑煮を作ってみました。
サトイモ、ごぼう、焼き豆腐…そして欠かせないのが塩鮭!醤油仕立てで具だくさんなのが特徴。日本海の幸を贅沢に!

関西雑煮といえば、白味噌、大根、人参、丸もちなどを使った京雑煮が 有名。とろっとしたお餅とこくのあるだし汁が絶妙。

「お雑煮にブリ?」と思う方もいると思いますが、頭から骨までダシが出るブリは縁起の良い“出世魚”で、長野 などでも ブリ雑煮が 食べられています。

鹿児島県の雑煮は、豪勢な焼きエビがどーんと入っているのが特徴。八代湾でとれるクルマエビを焼いて寒風に干したもので、決して安くはない価格で店頭に並ぶとか。


写真提供: 全国餅工業共同組合

シンプルであっさりした“江戸雑煮”と煮たり焼いたりして具だくさんな“博多雑煮”の名残があるとも言われていますが、実際は家庭ごとにいろんな味のお雑煮があるというのも、またお雑煮の魅力なのかもしれませんね。

番外編】 超個性派!あま〜いお雑煮
“ところ変わればお雑煮変わる”ということで全国にいろんなお雑煮があるわけですが、「これってお雑煮!?」とつっこみたくなるような個性的なあま〜いお雑煮を見つけました。まずは、岩手県の“お雑煮くるみ餅”。くるみをすって砂糖やしょうゆを加えた甘いタレをお餅につけていただくもので、白味噌仕立てであんこの入った丸餅が使われています。香川県もあんこがお雑煮のキーワードで、いりこ・白味噌に、あん餅をプラス!(写真)さらに、ぜんざい風“小豆雑煮”の鳥取県など、「お雑煮にあんこ!?」とびっくりしますが、意外に全国で甘いお雑煮はある様子。ちょっと驚きの組み合わせですが、甘いものが貴重だった時代に“お正月くらいは贅沢に”との先人の思いが込められている、伝統の味なのです。
 
お正月ひとくちメモ お雑煮のルーツは…?
お雑煮が一体いつからあるのかというと、平安時代に宮中で食べられたものが始まりと言われています。 また、大晦日に穀物や餅を神様に捧げ、それを元旦に年男が汲んだ若水で煮て食べる風習が一部の地域ありますが、それがお雑煮になったとも。
その名残で、今でもお雑煮を作るのは男の仕事とされているところもあるようです。
また、お餅の形はお祝いの時に“円満”を象徴する丸餅が主流でしたが、江戸時代以降関東では手間や保存の便利さなどから角餅が主流になっていった、とも言われています。
 
おせち
おせち料理といえば、伊達巻に数の子、紅白なます、たたき牛蒡にタケノコ…といろんなお料理が並びます。
中でも特に縁起がいいとされるものが一の重に詰められ、邪気を払う紅白がキレイなかまぼこ、 “よろこぶ”に通じる昆布巻き、黄金色が財宝を連想する栗きんとんなどが代表例。 続く二の重には野菜や魚介類の酢の物に蒸し物が並び、 三の重にはサトイモやにんじんなど縁起の良い素材を煮しめたお料理で運を開く、 という願いが込められています。
 
馴染みの深いお節料理ですが、その一品一品にはいろんな想いが込められているんですね。
(与の段、五の段の場合もあります。)
お正月ひとくちメモ 時代とともに変化する、
くらしの知恵がつまったおせち
新年祝いのお料理というイメージのおせちですが、北海道を始め「大晦日に食べる」という地域が全国にあるってご存知でしたか? もとは太陰暦でいう1日の始まり=大晦日の夜に食べられていて、その名残で北陸の他、岐阜や愛知、宮崎などでは今でも大晦日におせちが食べられています。 その後時代と共におせち文化も変化し、今があるというわけです。
また、おせちは“主婦が水仕事を控えられるように”と、日持ちの工夫が凝らされています。 料理本を開けば、一の重から控えの重までバランスよくピシーッと組み合わされています。 それだけに手間がかかる料理が多いのも事実ですし、お料理の並べ方まで昔ながらのしきたりがあってちょっと堅苦しいところもあるかもしれませんが、 先人から受け継がれてきた伝統のお料理のうしろにある、家族の幸せを願う和の心はずっと大切にしていきたいですね。
 
伝統料理
全国には、地元特産品を使ったお料理など、地域ならではの伝統料理がたくさんあります。 その地域にとっては、お正月の食卓に必ずのぼるものなので、なんら違和感はなくても全国的に見るとめずらしい料理というものも少なくありません。
そんな全国各地に残る伝統料理について、おもしろいものをいくつかご紹介したいと思います。
東 北 ナメタカレイ
東北地方のお正月には「ナメタカレイ」(北海道ではババカレイと呼ばれる)は、なくてはならない魚として珍重されています。体長50cm前後、体重1kgほどもあるこの魚、年末には1匹数万円の値がつくとか。“年とり魚”として煮付けで食べられることが多いそうです。

三重県

さんまのなれ寿司
下北山村や上北山村、十津川村などで正月に必ず食べられるというのが、さんまのなれ寿司。ゆずで香りづけしたお酢と砂糖に漬け込んださんまを、すし飯の上にのせていただきます。大晦日に作って初めはそのまま、日が経つと焼いて食べるそう。   冷暗所で一ヶ月間ねかせ、大晦日になると桶を逆さまにして、その時初めてふたを開けるんだとか。


青森県

たらのじゃっぱ汁
津軽の正月料理に欠かせないのが、たらを“じゃっぱ”(アラ)ごと使って、大根やにんじんと一緒に煮た栄養満点の一品。寒〜くなった体を芯からあっためる、津軽の冬の代表的な郷土料理。たらを鮭に、野菜をじゃがいもとねぎに変えれば、北海道の有名な郷土料理“三平汁”に変身。


福岡県

筑前煮
今でこそ全国に広がっていますが、もともとは九州筑前地方の郷土料理で、地元では「がめ煮」と呼ばれている正月の定番料理。調理をする時にやっかいな、さといものあのヌルヌルは脳細胞を活性化してくれるんだとか。さらにビタミン D たっぷりの干ししいたけや、レンコンや人参などの根菜類にこんにゃく…と、栄養たっぷりなこと間違いなし!台所にあるあり合わせの野菜で作ることができるのも、先人のありがた〜い知恵ですね。


鹿児島県

がね
鹿児島県といえばさつまいもの産地。郷土料理にも当然さつまいもが登場します。ごぼう、さつまいも、にんじんを太めのせん切りにして、水と地酒、塩、しょうゆ、そば粉を合わせた衣をつけて油でさっくりと揚げたもの。揚げたその形が「かに」に似ていることから、鹿児島弁の「かに=がね」と呼ばれています。

おせち
■特集連動レシピ 「金目鯛のちり蒸し」 もチェック!
今月号のシェフのオススメレシピは、
お正月のおめでたい日にもいただきたい金目鯛を使ったお料理を紹介しています。 お祝いの席に並んでいてもしっくりするのにとっても簡単!

ぜひこちらもチェックしてくださいね♪
  金目鯛のちり蒸し
年末年始の風習やお正月料理など、お祝いの席にはいろんなしきたりがつきものですが、時代とともに少しずつ変化しています。 例えば、手間をかけずに市販のおせちを買うという方も多くなってきていますし、マリネや焼き豚など洋風、中華風の料理が伝統のおせちと並んでいることも少なくありません。 お正月特集のHPを探せば、お重の代わりに大きめの洋皿に並べたり、おちょこにイクラなどを添えて重箱に盛ったりと、楽しいアイディアが紹介されています。
伝統も大切にしつつ、プラスアルファの「我が家オリジナル」で新年を迎えるのもいいですね。それでは、楽しい新年をお迎えください☆
=2008年も、鈴与商事マガジンをよろしくお願い致します=
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