学ぶ
2020.07.01

伝えたい・残したい地域の食文化│甘納豆のお赤飯

伝えたい・残したい地域の食文化│甘納豆のお赤飯
入学や成人式、七五三などお祝い事で食べられることが多いお赤飯。もちっとしたもち米の食感と小豆の風味がおいしいお赤飯ですが、山梨では昔から甘納豆を混ぜ込んだ“甘いお赤飯”がよく食べられています。
 
小さい頃からおばあちゃんが作ってくれた甘納豆のお赤飯を食べてきた私にとって、お赤飯はもちろん甘いもの。甘いお赤飯にごま塩を振りかけた甘しょっぱい味は、たまらないおいしさです。おばあちゃんの味を受け継いだ母が作るお赤飯ももちろん甘く、何の疑問も持たずに子どもの頃からずっと甘いお赤飯を食べ続けてきました。
かなり大人になるまで世の中に甘くないお赤飯が存在することすら知らず、初めて甘くないお赤飯があることを知った時は衝撃を受けました(笑)。それぐらい山梨では甘いお赤飯が馴染んでいます。
 
 

ほんのり塩味のもち米に甘納豆がクセになる


甘いお赤飯は、和菓子屋さんやスーパーにも並んでいます。今年創業100年を迎える甲府市朝日4丁目の老舗和菓子店「石坂屋」さんは、本店をはじめ県内のスーパーなどでも大福や草餅と一緒にお赤飯を毎日販売しています。お客さんのニーズに応えて甘いお赤飯と甘くないお赤飯の2種類を作っていて、どちらも人気だといいます。
石坂屋さんの甘いお赤飯は大粒の大納言小豆の甘納豆を使っていて、大きな木のセイロでふかしたほんのり塩味のもち米と、優しい甘さの大納言との組み合わせは最高!主食としてはもちろん、おやつにもぴったりです。
 
石坂屋さんではお祝い事用のお赤飯の注文も受けていて、甘いお赤飯か甘くないお赤飯か選ぶことができます。甘いお赤飯好きのお客様のなかには「甘納豆を2倍にしてください!」という方もいるそうで、「そんな注文ができるんだ!今度頼む時は2倍にしてもらおう」と思った私は根っからの山梨県民です。
 
他県から嫁いできたという石坂屋さん4代目の奥さんは、初めは甘いお赤飯が不思議だったそうですが、「山梨では絶対に甘いお赤飯でなくてはという方もたくさんいらっしゃって、地域に根付いている食文化だなと思います。これからも美味しいお赤飯を提供していきたいと思います」と話します。
 
 

“小豆ぼうとう”なるものも!甘いもの好きの山梨県民

それほど市民権を得ている山梨の甘いお赤飯ですが、そのルーツは山梨が発祥という説もあれば、同じく甘いお赤飯が食べられている北海道から昭和20年代にきたのでは?など、いくつかの説があります。
 
山梨の郷土料理などに詳しい食べもの研究家・管理栄養士の新海桂子さんは「山地の多い山梨では昔から水田が少なく米は貴いもので、その少ない米を楽しむ工夫として郷土料理であるほうとうやすいとんがかなり古い時代から食べられてきました。よく知られている『かぼちゃほうとう』などのみそ味のほうとうのほかに、甘く炊いた小豆と混ぜた『小豆ほうとう』というのもあり、貴重な砂糖を使った甘いほうとうはご馳走でした。甘いものはおもてなしの心の表れであり、ハレの日に食べることの多いお赤飯も、甘くしてご馳走を振る舞うという思いが込められているのではないでしょうか」と言います。
 
子どもの頃、お盆の時期におばあちゃん家に行くと、必ず小豆ほうとうがあったのを思い出します。いつものかぼちゃほうとうと違って特別感があり、甘いので食事というよりおやつみたいな感覚で食べていたのを覚えています。
おばちゃん家では、麦茶も砂糖がたっぷり入っている甘い麦茶でした。「えっ?」と思う人もいるかもしれませんが、これが何ともおいしいんです。
 
こうやって考えてみると、山梨の人は甘いもの好きが多いんでしょうね。甘いお赤飯が食べられているのも、地域でずっと愛されている味だからこそ。販売しているお店はそう多くはありませんが、道の駅などで置いているところもあり、コンビニエンスストアでも地域限定で甘いお赤飯のおむすびが並んでいるお店があります。
 
小豆ほうとうも甲府駅前などにあるほうとうが食べられる飲食店などで食べることができます。また甘い麦茶は山梨の食品会社が数年前に商品化し、ペットボトルで販売しています。ネット販売もしているので、気になる方はチェックしてみてください。
 
 

いつもの炊飯器で手軽に“山梨の味”を

甘いお赤飯は家庭でも作ることができます。でも、もち米100%だとうまく炊けなかったり、すぐに硬くなってしまうことも。
そこで食べもの研究家の新海さんに、家庭でも手軽にできる甘いお赤飯の作り方を教えてもらいました。「家庭でのお祝い事の際に気軽に作ってもらえるように、うるち米をベースにもち米を加えたレシピを考案しました。ぜひ作ってみてください」。
「ミルキークィーン」などもちっとした食感のうるち米を使うと、もち米を混ぜなくてもできるそうですよ。
 
 
≪山梨の甘いお赤飯 レシピ 3合分≫

材料
うるち米2合+もち米1合
甘納豆 約100g(お好みで増やしても減らしても)
塩   小さじ1/2~2/3
食紅  ほんの少し
 
作り方
1.お米をとぎ、3時間ぐらい浸水させる。
(ミルキークィーンなどうるち米だけの場合はいつもの浸水時間でOK)
 
2.炊く直前に塩と食紅を混ぜ、
いつものお米を炊く時と同じ水量で炊飯器で普通に炊く。
(ミルキークィーンなどうるち米だけの場合は水は少しだけ少なめに)
 
3.炊きあがったらすぐに甘納豆をご飯の上にのせ、ふたをして蒸らす。
 
いつもの炊飯器でいつも通り炊くだけなので、気軽に手軽にできます。お米の浸水時間は夏場は30分程度で大丈夫だそうです。浸水時間や水量、食紅の量は何回か作りながら調整してみてください。ぜひ山梨の甘いお赤飯をお家で楽しんでみてだくさい!
 

石坂屋
住所 甲府市朝日4-5-4
電話 055-252-8205
営業時間 7:30~17:00(商品がなくなり次第閉店)
不定休 お問い合わせください
 
 
新海 桂子さん
食べもの研究家・管理栄養士
山梨の伝統食の作り方などを自ら取材してまとめた書籍
『レシピ集 おごっそうの玉手箱』を3月に出版。
「身体とこころの栄養作り」をライフワークとする。
Ogotama.5050@gmail.com
 
このエントリーをはてなブックマークに追加

関連事業