特集
2021.04.14 四條由貴

静岡産の漆で街を盛り上げたい|オクシズ「漆の里」協議会

静岡産の漆で街を盛り上げたい|オクシズ「漆の里」協議会
静岡市が、かつて「全国一の漆器の産地」であったことは、地元でも知る人は少ないでしょう。今回は、静岡市産漆の地産地消を目指す、オクシズ「漆の里」協議会にお話を伺いました。

静岡市には「漆畑」という苗字が多いことや、「漆山」といった漆にちなんだ地名があり、その昔、ウルシを栽培していたことの名残だとも言われているそうです。静岡市と漆に関する産業の関係は、江戸時代に行われた久能山東照宮や静岡浅間神社の建設に起源があるとか。社殿群に漆を用い、きらびやかな装飾を施すため、徳川家康の下駿府に、宮大工や木工職人・木彫師・漆職人などの優秀な職人が全国から集められたのです。
駿河の木工職人は木や漆を扱う技に優れ、美しく使い勝手のいい多くの木工品「駿河指物」を作り出しました。また、東海道の要所であった駿府には竹細工や蒔絵などの職人が集い、「駿河竹千筋細工」や「駿河蒔絵」が生まれました。明治末期の資料には、「駿河漆器」に関わる事業者数、出荷額ともに全国1位であった記録が残っています。しかし、時代が変わり、「漆製品は高い・手入れが面倒」というイメージによる漆器離れの結果、漆に関する産業は急激に衰退していきました。
国内でのウルシの栽培、塗料としての漆生産は激減。現在の漆生産は原料となる漆の約97%を、中国を中心とする輸入に頼っています。



(オクシズの風景)

静岡市内の中山間地=「オクシズ」で、漆の木を育てよう

2015年に漆に注目が集まる出来事が起こります。文化庁から、「国宝や重要文化財建造物の修復には原則として国産漆を使用すること」といった通達がされたのです。文化庁の調査によると、国宝や重要文化財建造物の保存・修復に必要な漆の量は年間2.2t、現在の漆の国内消費量約は38tです。これに対し、国内生産量は約1.8t。国産漆の需要に供給が追い付いていないのです。しかも、貴重な国産漆は、栃木県の日光東照宮などに使われ、静岡にはなかなか回ってきません。静岡県内の国宝・重要文化財の漆塗りの建造物数は、京都に並び全国で2番目の多さです。そのほとんどが、静岡市内の静岡浅間神社と久能山東照宮にあり、それらの保存や修繕のために大量の漆が必要となります。そこで、静岡で使用する漆を、静岡市の中山間地域=「オクシズ」で育てようと、平成31年3月に「オクシズ『漆の里』協議会」が発足しました。協議会には、林業関係や文化財関係、地場産業関係者、行政などの団体が参加しています。


(漆搔きの様子)

ウルシの木は、とってもデリケート?

プロジェクトの目的は、ウルシの木を育て、その木から採取された漆が静岡市産の漆として使用される地産地消の仕組みを作ること。「オクシズ」と呼ばれる静岡市内の中山間地ではウルシを植樹する試みがスタートしています。ウルシは、肥沃で日当たりがよく、水はけのよい場所を好みます。これは、お茶の育つ環境と似ており、放棄されたお茶畑に植えて、お茶に代わる農地の利用策としても期待されています。しかし、大きく育つ木がある一方で、すぐ隣の木は枯れる寸前であったりと、成長に大きな固体差が生じました。実は、ウルシはまだ解明されていないことが多く、生育条件などもはっきりわかっていません。肥沃で日当たりが良く、水はけの良い、一見すると条件の良さそうな場所でも、期待通りには育ってくれない、意外とデリケートな木のようです。育たない原因は何か、どうすれば順調に育つのか、トライ&エラーを繰り返しながらオクシズでの栽培方法を見出していかなければなりません。
今年で3年目を迎えるプロジェクトは、まだまだスタートしたばかり。植樹や啓発のための講演会の開催、Facebookでの情報発信など少しずつ事業を展開しています。ウルシが無事に成長し、漆の液を採取できるようになるまで、10~15年ほどを想定していますが、それまでプロジェクトを継続し、地産地消の仕組みを作るための課題は山積しています。長く、時には険しい道のりになりそうですが、多くの人たちから漆やプロジェクトへの理解を得て、協力してもらいながら、静岡市の漆文化を発信していくプロジェクトとして、静岡産漆の地産地消を目指していくようです。


オクシズ「漆の里」協議会事務局
静岡市葵区宮ケ崎町102-1
e-mail shizuokajapan.okushizu@gmail.com


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