事例紹介
可溶化剤投入でバルブの詰まり解消!機械設備の稼働率向上を実現
- 産業燃料・潤滑油
- 亀井 一慶さま / 機械システム事業部 機械製造部 機械工作1課 加工係 NC班 班長
業種
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給
活用用途
潤滑油の劣化防止/機械設備・機械部品の延命
導入前の状況
1.機械の負荷が高く、頻繁にバーニッシュが固着していた。
2.メンテナンス作業に多くの時間を要し、設備係に大きな負荷がかかっていた。
3.委託加工も行っているため、なるべく機械を停止させたくなかった。
要件や選定の決め手
1.他社の事例と状況がまさに同じだった。
2.可溶化剤を投入するだけで課題が解決する点に魅力を感じた。
3.濃度管理などの手間がなく管理が容易で、機械の停止も必要なかった。
導入による効果
1.機械停止のトラブルが大幅に減少し、稼働率が向上した。
2.メンテナンスを行う設備係の負担や、機械を動かすオペレータのストレスが軽減された。
3.残業時間や補修部品の購入費用が抑えられた。
三本柱の事業展開と技術力
-[鈴与商事 以下SZY] 栗本鐵工所の主な事業内容について教えてください。
当社は1909年に創業した、大阪市に本社を置く老舗のメーカーです。
主に、水道用鉄管の製造を中心としたライフライン事業と、産業機械や設備製造を手がける機械システム事業、建材やFRP製品を扱う産業建設資材事業に分かれています。特にライフライン事業で、当社の水道管は日本全国で使用されており、信頼性も高く、社会に大きく貢献しています。
私が所属する機械システム事業部・機械工作1課 加工係 NC班 では、二次元の図面を三次元化するところからはじまり、CADやCAMなどを使用してプログラムを作成します。さらに、加工に必要な治具の考察や段取り方法の検討を行い、工作機械の保全活動も行っています。
-[SZY] 強みはどのような点にありますか。
ライフライン事業、機械システム事業、また産業建設資材事業の3分野を柱とし、官需と民需のバランスが取れた幅広い事業展開を行っている点が、当社の強みであると考えます。
また、加工係では人材不足(省人化)を背景に個々のスキルアップを推進し、OJTを通じて多能工化を推進し様々な加工機を扱えるオペレータの育成を行っています。また、近年では三次元CAD/CAMを活用した加工方法にも注力するオペレータを育成することができ、これまでにない加工方法を見出せるようになりました。
その結果、社内の加工ワークだけでなく受託加工にも積極的にトライしていくオペレータが増えたことも当社の強みと考えています。
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方向切換え弁・比例電磁弁等(以下、電磁バルブ)の詰まりと過重なメンテナンス作業
-[SZY]可溶化剤decon(デコン)を採用する前の状況を教えて下さい。
負荷が大きい特定の機械では、油の粘度が上昇する冬季になると毎日のように様々な電磁バルブが正常に切り替わらずエラーが発生し、機械が停止する事象が多発していました。
エラーを解消するには、電磁バルブの交換が必要となり、オペレータと設備係の担当2名で作業に日々2時間程度費やしていました。また、取り外した電磁バルブは設備係が1個あたり4時間程度かけて分解清掃を行う必要があり、日々発生するトラブルにより分解清掃待ちの電磁バルブがどんどん溜まっていく状況でした。
そうした中で、タンクや配管含めてすべてをフラッシングするという案もありました。ただ、20日近く機械を停止しなければならないということでした。受託加工も行っており、機械を止めることはできませんので、結局は設備係のメンテナンスに頼らざるを得ませんでした。
-[SZY]そのような状況で当社の提案を受けてどのように印象を受けましたか。
はじめてバーニッシュの説明を聞いたとき、まさに当社のタンク内で起きている状況と同じだと感じました。回収タンクと、その主軸のボックスから連結しているホースの壁面に固着している状態でしたので。
バーニッシュに効くdeconを全体オイル量のわずか3%投入するだけで、機械を停止する必要がなく、今の現象も解消され、費用対効果も見込めるとわかり、まさに良いこと尽くめだと思いました。
*バーニッシュ…潤滑油中に発生する酸化生成物のこと。油中に溶解状態で徐々に蓄積していき、温度や極性、圧力の変化によって偶発的に析出して金属表面に沈着する。

-[SZY]deconに対する不安や懸念はありましたか。
機械の摺動面にはターカイトが使用されており接着剤で貼り付けられています。
deconを投入することで接着剤に影響し、剝がれてしまわないかという不安がありました。また、deconにより可溶性バーニッシュが解けはじめた際に、同時に固着していた不溶性のスラッジや錆が配管内に流れ出し、摺動面・電磁バルブ・シリンダなど油圧機器に詰まりなどの悪影響が起こらないか不安でした。
しかし、decon投入と同時に高性能の浄油機にて不溶性の物質を回収し、検査キットで油の汚染度を経過観察いただいたことで、30分・1時間と時間が経過するにつれ、作動油が正常化していく状況を確認することができ安心しました。
decon投入後に実感した効果と変化
-[SZY]実際に効果を実感してどうでしたか。
deconを投入してから、時間の経過とともにコンタミが固着しなくなるのが目に見えて分かり、「これは効果がある!」と思いました。また、液剤を投入する際には濃度管理が必要だと思っていましたが、目安の3%を添加するだけで、そのあたりの管理が不要というのは驚きました。
decon投入直後にトラブルが起きたときは、「deconが原因ではないか?」と言われました。しかし、更油してからは問題なく結果も出て、周りも納得し、deconの必要性を理解しました。
-[SZY]オペレータの方の印象はどうでしたか。
機械が稼働している最中に、何度もアラームが鳴って停止するという状況が毎日続き、納期が決まっているにもかかわらず思うように作業が進まないことで、ストレスを抱えているオペレータもいました。しかし、deconを投入しただけでトラブルが解消され、負担が大幅に軽減され、稼働率も向上したため、オペレータは喜んでいました。
-[SZY]その他にどのような効果がありましたか。
費用が抑えられました。
メンテナンスを行う設備担当者やオペレータの残業時間も大幅に削減されました。また、部品の延命が可能となり、補修部品を購入する回数も大幅に減少しました。
≪decon投入前のバルブ部品≫

≪decon投入後のバルブ部品≫
今後について
-[SZY]今後鈴与に期待することを教えて下さい。
難しいとは思いますが、高引火点の油種を、工作機械メーカーの推奨油となるよう、工作機械メーカーへ働きかけをしていただきたいです。産業機械を扱っているためテスト運転が多く、倉庫には常に作動油の在庫であふれています。場内指定油量にあたらない高引火点の油種であれば、保有数量が増えても油倉庫以外でストックしておくことができます。
また、廃油のリサイクルも検討していただきたいです。タンク自体の容量が大きく、1回の更油で1600ℓ使用する機械が複数台あり、更油の回数も多い機械は年3回行います。オイル自体の劣化がなくても、水やごみの混入などがあると廃油になってしまい、非常にもったいないです。使用した油を浄油し、成分調整して戻すといったリサイクルが可能になれば、環境にも貢献できると考えます。