事例紹介

CO₂削減/脱炭素

地方空港におけるSAF導入の課題と「環境価値」活用による新たなアプローチ

  • 産業燃料・潤滑油
地方空港におけるSAF導入の課題と「環境価値」活用による新たなアプローチ
株式会社フジドリームエアラインズ 会社HP
  • 中井 秀昌さま / 経営企画部 企画グループ グループリーダー(2026年2月時点)

業種

  • 物流・運輸業

活用用途

環境問題への対応/SDGsの推進

現状の課題

1.運航方式改善などの燃費向上施策だけではCO2排出量削減に限界がある
2.SAFは、供給量が限られ、価格も高い。加えて、地方空港でのSAF導入については、物流や設備面での制約がある

要件や選定の決め手

1.追加的なCO2排出を伴わず、地方空港にも適した仕組み
2.現場負荷がなく、帳簿上で完結できるため導入が容易
3.現物SAFに比べ、現場調整や品質確認が不要

今後の展望

1.SAFの価格がジェット燃料並みとなれば積極的に導入
2.当面は、現物SAFではなく、環境価値スキームによる導入が主流になる

常に改革に挑戦する若々しい精神をもって安全で快適な空の旅を創造

-[鈴与商事 以下SZY] フジドリームエアラインズ(FDA)の主な事業内容について教えてください。

当社は、2008年6月に設立し、翌2009年7月に就航を開始した国内航空旅客運送事業者です。現在では、ブラジルのエンブラエル製のERJ170型機(76人乗り)×2機、ERJ175型機(84人乗り)×13機の15機体制で、北は札幌から南は鹿児島まで全国17空港に就航し、2026年夏ダイヤ期間は最大で27路線、48往復(96便)を運航しています。また、定期便が就航していない区間を結ぶチャーター便事業にも注力しており、年間1,000便以上を運航しています。2025年からは丘珠(北海道札幌市)→静岡便で貨物運送事業を開始し、今後取扱い路線の拡大を目指しています。

  
 

脱炭素化の現状とSAF導入に向けた課題・取組み

-[SZY]貴社におけるサステナビリティに関する方針や取組状況を教えてください。

パリ協定に基づき、国が2050年のネットゼロ目標を掲げています。また、2022年には航空局が「航空脱炭素化推進基本方針」を策定するなど、航空会社に対する脱炭素化への期待は高まっています。

航空会社でのCO2排出源の中で圧倒的に多いのは航空燃料で、これまでも運航方式の改善やエンジンの水洗いによる燃費向上など、燃料消費量の削減に向けた努力は続けていますが、これらの施策によるCO2排出量の削減には限界があり、大幅な削減には“持続可能な航空燃料”(以下、SAF「Sustainable Aviation Fuel」の略)の活用が不可欠であると認識しています。

一方で、SAFはCO2排出量削減に大きく寄与しますが、供給量に限りがあることに加え、従来の航空燃料と比べ価格が大幅に高いといった課題があります。このため、導入検討が進みにくいのが実情です。

  ▪フジドリームエアラインズ(FDA)
   環境への取り組みについて


-[SZY]他に課題や障壁はありますか。

現物SAFの導入にあたっては、供給量や価格に加え、空港への配送体制も課題です。CO2排出量削減効果の高いSAFですが、従来のジェット燃料と別の物流網を構築して地方空港へ輸送する必要があります。そのため、その過程で追加でCO2を排出することとなり、せっかくの環境価値が目減りしてしまいます。

さらに、地方空港の給油施設(航空燃料のタンク)は小規模であることが多く、関係者間の調整に時間を要するなど、地方空港でのSAF導入への重しともなっています。


-[SZY]ENEOS社と連携し、国土交通省の『地産地消によるSAF導入支援実証事業』に参画された理由を教えてください。

(上記の課題から)現時点ではSAFの積極的な導入は難しい状況ではありますが、環境が整った際に迅速に対応できるよう、知見を得ておくことが重要であると考えています。そのため、最新情報の収集はもちろん、技術面・供給面での課題についても、早い段階から検討および実証を進めていく必要があります。

こうした中で、鈴与商事より実証事業の案内をいただき、鈴与商事による強力なサポートのもと、参画することといたしました。



 

環境価値スキームの印象と導入後の評価

-[SZY]「環境価値」を購入するという提案を受けた際の印象を教えてください。
 
余計なCO2を排出することなく導入出来る点に加え、現物SAF使用時に必要となる技術面や物流面の事前調整も不要である点で地方空港の実情にマッチしたスキームであると感じました。

また、現場への負荷がなく、帳簿上の処理のみで完結するため、スムーズに導入できる点に大きなメリットがあると考えました。


-[SZY]採用にあたり、苦労された点があれば教えてください。

実証事業では、環境価値を購入する方式で、現物SAFの地方空港への物流を伴いません。そのため、給油施設や給油車両への受入調整や、SAF自体の品質確認が不要となり、現物SAFと比べ導入に向けた調整は非常にスムーズでした。一方で、このスキームを外部の方にも解りやすく伝える表現などの工夫には時間を要しました。


-[SZY]採用後の評価はいかがでしたか。

業界関係者からは、「地方空港におけるSAF導入を促進するうえで画期的な取り組みである」と高い評価をいただいています。一方で、フレキシビリティ制度*そのものの仕組みが難しく、今後の普及に向けては、いかに分かりやすく伝えていくかが課題であると認識しています。
 *フレキシビリティ制度…現物の燃料取引からは切り離し、SAFの環境価値(クレジット)だけを取引する仕組み

◇◇ 実証におけるSAF供給スキーム ◇◇

今後の展望

-[SZY]将来的にSAFの活用について、どのようにお考えでしょうか。

現時点では、SAFはジェット燃料よりもかなり高額のため、具体的な導入目標や計画を定めることは難しい状況です。しかし、将来的にジェット燃料と同程度の価格水準となれば、積極的に活用していきたいと考えています。

また、現物SAFの地方空港への供給は、それに係る追加的なCO2排出を伴うため、現実的な手法とはなり得ないと認識しています。そのため、今回実証したようなスキームが主流になっていくのではないかと考えています。


-[SZY]最後に当社に期待していることを教えてください。

航空燃料がなければ航空機は運航できません。就航以来安定的に航空燃料を供給いただいている鈴与商事は、当社にとって欠かせないパートナーです。今後も、航空燃料の安定供給に加え、SAFを含むさまざまな情報提供や協業を通じて、支援いただけることを期待しています。

 

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