事例紹介

自動化・省人化

人に頼る製造から、人とロボットが協働する製造へ ~巴商会が描く持続可能なものづくり改革~

  • 協働ロボット・パレタイザー(FA)
人に頼る製造から、人とロボットが協働する製造へ ~巴商会が描く持続可能なものづくり改革~
株式会社巴商会
  • 牧野 政信さま / 取締役 工場長

業種

  • 製造業

活用用途

溶接・塗装工程の自動化による省人化と品質安定化

導入前の状況

1.溶接・塗装は習熟まで1年以上を要する特殊技能であり、人材育成に時間がかかること。
2.手作業による品質のばらつきや不良発生を抑制したいという課題があったこと。
3.将来的な技能者不足や、溶接煙・塗装粉じんによる健康リスクへの対応が必要だったこと。

要件や選定の決め手

1.多品種少量生産に対応できること。
2.既存設備を活用しながら導入できること。
3.現場作業者が運用・改善できる仕組みであること。

導入による効果

1.溶接工程で約0.5人月分を省人化し、退職者が出ても生産量を維持。
2.塗装品質の安定化や溶接不良率の低減を実現。
3.作業者の負担軽減と健康リスク低減につながった。

オーダーメイド対応を強みとするボイラメーカー

-[鈴与商事 以下SZY]巴商会様について教えてください。

ボイラや温水器の製造販売を中心に、乾燥機やサウナなどの関連製品も取り扱っています。
納入先は観光ホテル、老人施設、入浴施設など、お湯を大量に使用する施設が中心です。

なかでも当社の強みは、お客様ごとの要望に合わせた柔軟なカスタマイズ対応です。
例えば、標準仕様では右側にあるノズルを、顧客の設備に合わせて左側や上側に変更するなど、
標準仕様では対応できないご要望にも柔軟に対応しています。
また、短納期でオーダーメイド対応できることも強みと認識しています。


 

特殊技能人材の確保と品質安定化への課題

-[SZY] ロボット導入前はどのような課題を抱えていましたか。

溶接と塗装はいずれも特殊技能が必要な作業です。一人前になるまでには最低でも1年程度かかりますし、
経験や熟練度によって品質にも差が出ます。
人が作業する以上、塗装の厚みにムラが出たり、溶接品質にばらつきが生じたりすることは避けられませんでした。
また、将来的な労働人口の減少も大きな課題でした。
技能者不足が進んだ時に、現在と同じ品質と生産体制を維持できるのか、そうした不安は以前から感じていました。
さらに、溶接作業では煙が発生し、塗装作業では粉じんを吸い込む可能性があります。
従業員が長く安心して働くためにも、作業環境の改善は避けて通れないテーマでした。

多品種少量生産だからこそ難しかった自動化

-[SZY]ロボット導入はどのような経緯で始まったのでしょうか。

先ほどお話しした課題に加え、「これからは人の力だけに頼るのではなく、自動化も取り入れていくべきだ」と
いう熊澤社長の考えがきっかけでした。しかし、当社は大量生産工場ではありません。
製品ごとに大きさも形も異なる多品種少量生産が中心です。
そのため一般的なライン生産向け設備をそのまま導入しても効果が出にくく、
自動化が難しい工場だと言われることもあります。

そこで鈴与商事さんに工場全体を見てもらい、自動化できる工程を一緒に洗い出してもらいました。
溶接、塗装、組立など複数の候補を検討した結果、
最も効果が見込める工程として溶接ロボットと塗装ロボットの導入を進めることになりました。






-[SZY] 導入時に不安はありましたか。

溶接ロボットについては展示会などで目にする機会もあり、ある程度イメージできていました。
一方、塗装ロボットは実際に動いているところを見た経験が少なく、本当にうまく塗装できるのかと
いう不安がありました。また、ロボットは導入するだけでは意味がありません。
ティーチングや条件設定を行いながら、現場が使いこなせる状態にならなければ
本当の効果は出ないと思いました。
 

-[SZY] どのように不安を解決していったのでしょうか。

まずは、人と同じエリアで作業できる協働ロボットから導入し、1年後に塗装ロボットを導入しました。
いずれも装置メーカーから教育を受けながら、現場担当者が試行錯誤を重ねて運用ノウハウを蓄積しています。
今ではロボットを扱える人材も育ち、次の自動化への足掛かりにもなりました。

品質向上と現場改善を同時に実現

―[SZY]ロボット導入によってどのような効果を感じていますか。

まず数字として見えているのは省人化です。
溶接ロボットでは約0.5人月分の作業をロボットで代替できています。
当社は大量生産工場ではありませんので、何人分も削減できたという話ではありませんが、
人手不足が進む中で0.5人月分の工数を補える効果は非常に大きいと感じています。
実際に今年は退職者が1名発生しましたが、新たな人員補充を行うことなく、
生産量を維持することができています。これはロボット導入による効果の一つだと思います。

―[SZY]品質面ではいかがでしょうか。

塗装工程では非常に効果を実感しています。
これまでは人が塗装を行っていたため、どうしても塗りムラや塗膜厚のばらつきが発生していました。
同じ作業者でも、その日の体調や疲労によって違いが出ることがあります。
一方でロボットは、教えた動作を正確に繰り返してくれます。
導入当初は厚く塗り過ぎる傾向もありましたが、それだけ安定して塗れているということでもあります。
現在は塗装速度やガンとの距離などを調整しながら最適化を進めていますが、
品質の安定という面では大幅な改善を実感しています。



溶接工程については、実は最初から順調だったわけではありません。
ロボットは同じ動作を正確に繰り返すため、
仮組みの精度やワークの設置位置が少しでもずれると、狙った箇所を溶接できません。
導入当初はこのような問題も発生しましたが、現場で試行錯誤を続けながら、
仮組みの精度向上や位置決め方法の改善を進めました。
その結果、現在では安定した品質で溶接ができるようになり、不良率も大きく低下しています。
ロボットを導入したことで、設備だけでなく現場そのものの改善にもつながったと感じています。




―[SZY]作業環境の面での変化はありましたか。

当初から期待していた効果の一つが、作業者の負担軽減です。
溶接工程では煙が発生しますし、塗装工程では粉じんを吸い込むリスクがあります。
そうした環境で長時間作業することは、身体的な負担も少なくありません。
ロボット化によって、作業者が危険な作業環境にさらされる機会を減らすことができました。
また、従来の溶接作業ではスパッタ除去などの後工程も必要でしたが、
現在ロボットで行っている溶接方式ではそうした作業も減っています。
品質向上だけでなく、安全で働きやすい職場づくりという面でも効果を感じています。





―[SZY]導入を振り返って、特に良かった点はありますか。

ロボットそのものの導入効果ももちろんありますが、
それ以上に大きかったのは、社内にロボットを扱える人材が育ったことです。
今回の取り組みは、単に設備を導入しただけではなく、ロボット活用の基盤づくりにもつながったと感じています。​

ロボット導入がもたらした新たな可能性

―[SZY]今後について教えてください。

今回の導入で得られた最大の成果は、ロボットを活用できる現場になったことかもしれません。
溶接も塗装も、まだ自動化できる余地は残っています。
ただし、ロボットは導入すること自体が目的ではありません。
仕事量や投資対効果を見極めながら、段階的に拡大していくことが重要だと考えています。
今後は大型製品への対応や追加導入も視野に入れながら、自動化をさらに進めていきたいと考えています。



―[SZY]同じ課題を持つ企業へのメッセージをお願いします。

ロボットというと、「何でもできる」と期待してしまう部分もあると思います。
ただ、実際には自社のどの工程なら効果が出るのかを見極めることが大切です。
まずはそこを整理してから検討を進めることをお勧めしますし、
どこから整理したら分からない場合は鈴与商事さんに相談することをオススメします。

また、導入前は不安もあると思いますが、悩んでいるだけでは何も変わりません。
まずはチャレンジしてみることが大事だと思います。
私たちも最初からうまくいったわけではなく、現場で試行錯誤しながら改善を重ねてきました。
その結果、品質の向上や作業負荷の軽減といった効果につながっています。

少し言い方は悪いかもしれませんが、人は辞めてしまうこともありますし、
技能を習得するにも時間がかかります。しかし、ロボットは教えたことを確実に繰り返してくれます。
ロボットは裏切りませんからね。(笑)

人手不足や技能継承といった課題を抱える製造業にとって、
ロボットはこれからますます重要な存在になっていくのではないでしょうか。

 

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